新横浜道場の先生教えの一つで「技は片足でかけろ」と言うモノがあります。先生の業は重心移動を巧みに利用するので、相手を投げる瞬間に片足立ちになっている事が多かった思います。片足立ちだと自分が不安定な印象を受けますが、不安定さの中に崩しの原理、動きの起点があります。両足立ちの場合であっても重心は明確に片足に寄っている場合もあります。
これらは先生独特の技の動きに起因するものですが、八光流柔術の型の中にも片足立ちで使う技が幾つかあります。現代的な運用では無視される場合も多いのですが、片足立ちの所作を明確に意識する事で技の理解が一段深いものになります。
イラストの技は「二段技・腕押捕」と言います。
上膊部を掴んで殴りかかる相手に対して掴まれた腕を大きく返して相手の掴み手を極めて足元に組み伏せます。イラストの状態から片足立ちで相手を吊す様にして手前に引き込みます。
教本には「斬りおろしながら○足を後退する」とだけ記されていますが、その後の段落の「全て立技は腰を曲げたり、膝を折ったりしてはいけない」と念押しの注意書きがされています。注意書きの原則を守る必然的に片足立ちになります。
教本には他にも片足立ちで使う技も登場しますが、現代的な運用では無視される事も多いです。実際に片足立ちになるのは、動きの中の1場面に過ぎないので軽視されるのかも知れません。