柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

後逆首〆捕について

八光流柔術本傳の三段技9ヶ条の「後逆首〆捕」は正座している取の背後から掛(受側)が首を絞めながら肘を折りに来るところ、腕の極めを解いて反撃する技です。 掛の攻め口として、首締と肘折を同時に行うのですが、不安定な片足立ちで2つの攻めを同時に成立…

姿勢を整える事

以下の写真は2020年11月14日の稽古写真。 X(旧Twitter)に投稿していた記事からダウンロードしましたが、この頃の稽古では姿勢の要求をかなり厳密にしていた様です。狭い身幅の中で技を掛けようとする意図が写真から伝わって来ます。 因みに写真で取り組んで…

掌屈と背屈

八光流の基本的な技術に「お化けの手」と言うテクニックがあります。正面にいる相手から両手首を掴まれて押さえつけられた時に指先を下に垂らしながら「お化けの様な」ポーズすると手首を押さえつけていた相手も抵抗できずに手首を持ち上げる事が出来ます。 …

「腕押捕」の中にある「木葉返」

以前の記事で『女子護身道を学んで以降は「腕押捕」のやり方を少し変えました』と書きましたが、その記事で書いた以外にも女子護身道の腕押捕には大きなヒントを貰っています。 女子護身道は八光流柔術黎明期に初代宗家が女学生向けに作成した護身術の型です…

「立ち当」(たちあて)

八光流柔術・初段技12箇条 送りカナの表記は教本の通りにしています。 イラスト上では 右側:取/左側:受となっています。 (イラスト解説) ①相手が左手で右手首を掴んで右手で殴らんとするのに対して右足を一足進めながら右手を左耳に向けて挙げる。 ②右手…

2018年の稽古写真

2018年3月25日付の旧Twitterの 投稿写真を添付しました。 この時は 体験入門者に初段技「腕押捕」を やって貰いました。 難しい技ですが、 絶対に身体を回さない!余計な動きをしない!っと言う事を徹底したら 結構、綺麗に技が決まりました。 「オッ〜凄い…

相手の中心へ切り込む!

【 腕押捕・胸押捕 】 上腕部または胸部を押さえながら、 殴って来る相手に対する技。 2つとも八光流柔術の初段技です。 相手の掴み手に軽く触れ、 対角線上の肩と肩を合わせつつも 我が上体を前に倒すと 相手は腰砕けに崩れ落ちる。 八光流入門者にとって…

初代奥山龍峰傳「女子護身道 」

初代奥山龍峰先生が戦前の女学生用に監修した女子護身道と言う型は八光流柔術との共通点を持ちながら技の運用は現在の八光流より遥かに烈しいと言う印象です。 私は2019年に女子護身道を学んでからは、打込捕、腕(胸)押捕の伝え方を少し修正しました。初段技…

【 稽古方法について 】

柔居舎を始めて以来、数多くの稽古方法を試して来ましたが、それは一方で数多くの稽古方法を捨て去った事になります。では捨て去った稽古方法が無駄であったか?と言えば、そうではありません。その時々の稽古体験が次へのステップになっています。 稽古の取…

合気上げ、合気下げ

「合気上げ」「合気下げ」と言う技名、用語は いつ頃から使われ始めたのでしょうか? 先日、体験に来た方に両手取りからの崩しをお伝えしたところ「これはいわゆる合気下げですか?」と質問されました。「うーむ、どうでしょうね〜、私のところでは合気上げ…

引投について②

引投(立技)と合気投(座技)についての考察の続きですが、八光流黎明期の古い教本には「引固」と言う技が登場します。この技は座技ですが、引投と同じく両手取から技が始まります。片方の手を大きく後に引き付けて相手を倒す技で「引投」の動きにソックリです…

合気柔術とは?

合気柔術って何でしょうね〜。 元々は大東流が自流の優位性を誇るために自流を合気柔術(或いは合気武道、合気武術)と呼ぶ様になったのが始まりだと考えています。 合気と呼ばれる技術の定義については、大東流および大東流の影響を受けた各会派・各流儀で様…

浮腰の研究

浮腰と言えば、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎先生が得意とした技ですが、試合や乱取りなどでは大腰、払腰、跳腰、支え釣込腰などの他の腰技と比べて登場回数が少ない様に思います。 そもそも技の手順がシンプル過ぎる故に難しい!大腰の様な腰に担ぐ訳…

引投について

「引投」は八光流柔術の初段技13ヶ条にある立業です。両手を掴まれた状態から相手を左右いずれかに投げ捨てる技ですが、手首を掴まれたまま腕の操作で相手を崩し、体捌きで相手を転がす様に投げます。 シンプルでありながら崩しに対して多くの示唆や気付きを…

あのび体操

皇方護身体操の中の簡約体操をアレンジして、私が実践しているエクササイズです。名前の由来は「欠伸」と「伸び」を組み合わせて「あのび」です。ユックリと身体の内側を伸ばしていく様子が「欠伸や伸びをしているイメージ」に近いので、勝手にそう呼んでい…

【 稽古メモ&稽古予告 】

一応、ブログでも稽古会の告知をします。 10月前半までのテーマ塩を摘む動き身体の回し方と足捌き高野豆腐をイメージした相手への接触 9/30, 10/7 11:00-13:0010/15 13:00-15:00場所は神田駅周辺体験希望者はメールでお知らせ下さい。 yawaraisha@gmail.com …

崩しのリズム

相手の身体にアプローチしてから、相手が崩れるまでに少しの時間差があります。その時間差を待ちきれずに動き過ぎると、せっかく相手に掛かった崩しがリセットされます。崩しが上手くいかない人は、自分の動きを止めて待つ練習が有効かも知れません。慣れて…

八光捕と合気上げ

八光流は世間的には大東流の分派と言う評価を受けています。しかしながら、八光流には大東流の殆どの会派で稽古している「合気上げ」がありません。 その代わりに「八光捕」と言う基本技があります。八光捕も合気上げも相手に両手首を掴まれた状況に対処する…

逆水平ではなく袈裟斬りだった?

八光流初段技に「立ち当」と言う技がありますが、手順を説明すると・・・ ①相手が右手で自分の左手首を掴んで殴りかかって来たら②左足を一足分だけ外側に踏み出しながら③左手を自分の右肩口辺りまで引き上げて、相手の掴みを外し④そのまま相手の眼の下当たり…

弾く技、切り落とす技、引き寄せる技

2023年8月までの稽古を通して、色々な気付き、発見がありましたが、それらを総合して考えると、改めて八光流柔術の技の構造、習得段階を認識出来たと実感しています。 細かな点から始めると説明が長くなり過ぎるので概略から入ると、八光流柔術の習得には3…

親指殺しの技

八光流柔術の二段技、つまり最もベーシックな初段技を修了した後に学ぶ型の1本目に「松葉捕」と言う技があります。どんな技かと言えば、相手の親指を折る(脱臼させる)技です。おそらく、大東流にも合気道にもない八光流独特の技だと思いますが、実に危険で、…

八光流柔術とは

八光流柔術は初代宗家奥山龍峰が昭和16年6月に創流した柔術流派。 大東流の武田惣角師とも交流を持っていた事から大東流の分派と認識される事が多いですが、大東流以外の複数流派の技術・知見も組み込まれています。私は本部で初代宗家所蔵の起倒流の伝書(写…

手鏡について②

「手鏡」について私自身の技術的変遷で大きなポイントが挙げるとすると、最初の変化は2017年頃、そして2番目の変化が2023年6月頃に起こりました。 最初の変化のポイントは、手刀の使い方です。「手鏡」は相手の手首を折り畳んだ後に相手の手の甲を上から手刀…

手鏡について①

初段技「手鏡」は八光流の基本技であると共に、演武登場する頻度も高い代表的な技の一つです。 とは言え他流派で全く観られないと言う訳ではなく、合気道では「両手持ち小手返し」と言う名称で類似の技法を稽古されている動画を拝見した事があります。勿論、…

間合いと掴まれる事について

数年前の事ですが、当時の門人の1人に「八光流の技は足捌きが少ないです」「身体(衣服)を掴んで殴りかかる等の近い間合いでの攻撃に対処する技が多いですね」と伝えたところ、、、 「じゃあ、遠い間合いから殴り掛かって来られたら、どうしますか?」との質…

ブログの再開とタイトルについて

八光流東京道場「柔居舎」です。「やわらいしゃ」と読みますが、柔らかな居住い、佇まい、在り様を体現したいとの思いを込めて命名しまいた。一応、八光流総本部の公認道場で、道場名は漢字で「柔居舎」と登録しましたが「やわらいしゃ」と読むのは難しいの…