柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

間合いと掴まれる事について

数年前の事ですが、当時の門人の1人に「八光流の技は足捌きが少ないです」「身体(衣服)を掴んで殴りかかる等の近い間合いでの攻撃に対処する技が多いですね」と伝えたところ、、、

「じゃあ、遠い間合いから殴り掛かって来られたら、どうしますか?」との質問が返って来ました。私は数メートルぐらい離れた所から自分に向かって来る相手をイメージしました。そして「十分に距離が離れていれば逃げる事も可能ですね」と答えた記憶があります。

相手との距離が離れていれば「逃げる」と言う可能性や選択肢もある訳で危険を冒して反撃しなくても良い場合もあります。しかしながら、手や服の袖を掴まれると相手から離れると言う選択肢が無くなります。

従って、身体や衣服を掴まれた時の対処方法は非常に重要だと思います。掴みから始まる合気道柔術の型に対して「想定が現実的でない」との意見もありますが、全然そんな事はないと思います。相手との距離を保てない状況への対処法を学ぶと言う意味では極めて重要な稽古だと思います。

また技を取(相手に掴まれた状態から反撃する側)が武器を(隠し)持っていると想定すると、受(攻撃側)は武器を使われない様に手首等を掴んでから殴るなり、蹴るなりする行為は充分に合理的です。

興奮した暴漢が相手を逃がさない様に相手を掴んでから殴打するケースも多いと思います。

相手に身体を掴まれると言うのは、逃げる、距離を取ると言う選択を妨げられた間合いゼロの攻防と理解すれば良いですし、そう考える事で稽古の意味合いも変わって来ると思います。