柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

弾く技、切り落とす技、引き寄せる技

2023年8月までの稽古を通して、色々な気付き、発見がありましたが、それらを総合して考えると、改めて八光流柔術の技の構造、習得段階を認識出来たと実感しています。

細かな点から始めると説明が長くなり過ぎるので概略から入ると、八光流柔術の習得には3つの段階があり、最初の段階で「相手を外側(真下)へ弾く技」を学び、次に「真っ直ぐに切り落とす技」、最後に「相手の懐に引き寄せる技」を学ぶと言うのが現在の認識です。

しかしながら、少し前までは「引き寄せる技」が認識の中になかったです。勿論、個別の技やテクニックの中に、引いて仕掛ける技、相手をいなす技もありますが、八光流を大きな視点で捉えると「相手を弾く、真下に潰す、切り落とす」のが八光流の本領と考えていました。

ところで今年は、3月、7月、8月と宗家先生の一般技セミナーが開催されましたが、3月に開催された初段技講習会では宗家先生の技に違和感を覚えたものの何が違うのか?理解出来ませんでした。

実は宗家先生が初段技、二段技と言った基本技をセミナー形式で教えるのは極めて稀な事で、私も初めての機会だったので楽しみにしていたのですが、3月の初段技セミナーで示された技は「自分達の技とは違う」と言う違和感の塊。

感覚的に「力の流れが逆」だと認識したのですが、初段技セミナーの時点では違和感の正体を掴み切れませんでした。しかし、宗家先生の技を「引き寄せる技」の視点で振り返ると少しだけ構造が見えてくる気がします。全て理解できた訳ではないですが、6月頃から「引き寄せる技」を意識し始めていたので二段技、三段技のセミナーでは初段技セミナーの時と比べて理解度が抜群に上がりました。

「引き寄せる技」は言わば、術式反転の技だと思います。入門以来、学んで来た技とは出力する力の流れが逆転するイメージです。今までも部分的に引き寄せるテクニックを使う場面があったかも知れません。しかし技術習得の段階として「引き寄せる技」を認識した事で新たなアプローチが見えた気がします。