柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

「立ち当」(たちあて)

八光流柔術・初段技12箇条

送りカナの表記は教本の通りにしています。

イラスト上では

右側:取/左側:受となっています。

 

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(イラスト解説)

①相手が左手で右手首を掴んで右手で殴らんとするのに対して右足を一足進めながら右手を左耳に向けて挙げる。

②右手を挙げながら相手の掴みを外す。

③耳(眼)の高さに挙げた右手で手刀を作り相手の眼下に当身を入れる。

④半身になりがちだが胸と胸を合わせ相手との正対を保つ。左手を後ろに引くと半身の弊害を助長するので、左手は腰よりも前に置く。

⑤左手が前にあれば接近時に帯を掴んだり、腹を突いたり抑えたりと次の動きに繋げられるが、左手を後ろに引いた半身の姿勢だと攻めが遅れる。

昔々「八光流は避けない!いなさない!正面で受ける!」と言われている師範がいましたが「なるほど!」と思いました。実際、三段技の突身捕は八光流独特の技ですが相手の突きを腹で受けています。昔は実際に腹や胸を拳で突かせる稽古もした様です。

しかしながら「立ち当」に関して言えば、ヒラリっと身を翻す人が殆どではないでしょうか?帯の結び目を相手に向けながら、手と反対側に手刀を置く構えは慣れないと結構厳しい筈ですが「立ち当」の難しさが語られる事はありません。

皆さん、簡単な技だと誤解しているのかも知れませんね。ただ、私自身も「立ち当」の本当の難しさや技の意味に気付いたのは剣術を学び始めてからだと思います。もし「立ち当」について十分な理解があり正しく稽古していたならば、剣の構えで、あれほど苦労はしなかったでしょう。剣術を通じて八光流への理解が深まりましたが、それは剣と柔に通底する術理があるからだと思います。