柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

逆水平ではなく袈裟斬りだった?

八光流初段技に「立ち当」と言う技がありますが、手順を説明すると・・・

①相手が右手で自分の左手首を掴んで殴りかかって来たら②左足を一足分だけ外側に踏み出しながら③左手を自分の右肩口辺りまで引き上げて、相手の掴みを外し④そのまま相手の眼の下当たりに手刀で当身をする技です。

非常にシンプルな手順で誰にでも簡単に覚えられる技です。しかしながら、相手が本気で掴んで来た場合、手解きから当身にスムーズに移行出来るか?っと言われると少し疑問が残ります。体格・体力が同程度ならば一定程度の効果はあると思います。また、手刀による反撃を考慮しなければ、相手の掴みを解く事は、それほど難しくないでしょう。

ただし、掴みを外してから当身までを流れる様にスムーズに行おうとすると少し難易度が上がります。この技は一見するとプロレス技の逆水平チョップに似た動きに見えますが、逆水平の様な掴まれた手を大きく後ろに引こうとすると相手に押し込まれて自分の体勢が崩れます。相手が掴んでいる手で身体ごと抑えつけて来ると水平運動では対応出来ません。

実は「逆水平的なスイング運動」を脱却する事が、この技における大きな分岐点となる!っと言う事に気付いたのが、つい最近。合気道龍の安藤師範が合気道の側面入身投の非接触バージョンをやっている動画を眺めていた時に剣術稽古で学んだ「あの技」と動きが似ているな〜っと思い、軽く身体を動かした瞬間に思いつきました。

安藤師範の動きも一見すると逆水平的な印象を受けますが、相手から遠い側の身体の動きが重要だと感じました。そこで得た気付きを八光流の「立ち当」に当てはめると、手刀は霞の位置に取り上げて袈裟に切り下ろす位で丁度良い気がします。

相手に近い方の足を外に踏み出す動作も袈裟切りと組み合わせると合理性が増してきます。

この気付きを得た時、正に剣の理合だな〜っと独りで悦に浸っていましたが、八光流の宗家に最も近い師範に袈裟切りの話をすると「我が意を得たり」とばかりに色々と付属する技を教えて貰いました。

八光流柔術は見た目では歩法、足捌きが殆ど認められないのですが、シッカリと日本古来の剣理が埋め込まれている事を再確認。この手の話をしても通じる人は他に多くはいません。彼の様な人が宗家先生のサポート役に就いていないと、宗家の技も伝わりにくいかも知れないですが、激務で体調を崩し気味なので少し休んだ方が良さそうです。

技は学べる時に学んでおいた方が良いですね。昨年の四段技セミナーと、今年行われた初段技から三段技セミナーは宗家先生が講習を務め大変に素晴らしい内容でした。来年も同じセミナーが開催される保証はないので受講しておいて良かったと思います。