柔術・古武術・秘伝の探求

八光流柔術の道場「やわらいしゃ」のブログです

八光捕と合気上げ

八光流は世間的には大東流の分派と言う評価を受けています。しかしながら、八光流には大東流の殆どの会派で稽古している「合気上げ」がありません。

その代わりに「八光捕」と言う基本技があります。八光捕も合気上げも相手に両手首を掴まれた状況に対処する技ですが、大東流の合気上げが相手の掴みを解かずにコントロールするのに対して、八光捕は相手の掴みを完全に外す事を目的にしていて、この点で大東流の合気上げとは対照的な技となっています。

しかし技の難易度に関して言えば「合気上げ」の方は圧倒的に難しいと思います。八光捕は掴みを外すだけで良いのですが、合気上げは掴ませたままの状態で相手をコントロールするので、より高度な技術が必要です。

それでは八光流では相手のコントロールを全く考慮していないのか?と言えば、そんな事はありません。何故なら「八光捕」と言う技名の中にある「捕らえる」の文字は相手の制御を示唆しています。単純な手解きの技であれば「八光抜」あるいは「八光解き」と言う名前が妥当でしょう。

そして、八光捕に続き「手鏡」「膝固」「合気投」あるいは「八光攻」と言った基本技では相手に掴ませた状態でのコントロールがメインテーマです。

「八光捕」をあえて、手を解き切る処で終わらせる技にしたのは、段階的な技術習得を見据えた初代宗家の深謀遠慮だと考えています。稽古をしながら初代宗家の思考をトレースして行くのも八光流を稽古する楽しみの一つです。